日本の幹細胞治療|法律がカバーすることと、クリニックの確かめ方
クリニックの幹細胞治療は合法で規制もありますが、自費で、国が効果を確認した治療ではありません。2014年の再生医療法が求めること、国が承認した製品、受ける前の確認方法をまとめました。
日本の幹細胞治療はどこまで法律で守られていて、受ける前に何を確かめればいいのか。膝の痛みなどに対する幹細胞治療を自由診療で行うクリニックは多く、合法で規制もあります。ただ、法律が決めているのは治療の進め方と安全管理で、効くかどうかではありません。費用は全額自己負担です。
ここでは法律の中身と、クリニックの確かめ方をまとめました。医療上の判断は、かかりつけの医師と相談してください。
法律が定めること
2014年11月に施行された再生医療等安全性確保法は、細胞を使う治療をリスクに応じて3つに分けています。
- 第1種: ES細胞やiPS細胞を使うものなど、リスクが高いもの
- 第2種: 脂肪由来などの体性幹細胞を使うものなど、中程度のもの
- 第3種: 加工した体細胞を使うものなど、リスクが比較的低いもの
医療機関は、認定再生医療等委員会の審査を経た「再生医療等提供計画」を提出してから治療を行います。第1種は厚生労働大臣にも提出します。届け出られた計画は、厚生労働省の「e-再生医療」で公開されています。
一方で、この法律は治療の効果を認めるものではありません。日本再生医療学会は、幹細胞を使う自由診療は、国が有効性を確認して承認した医療とは別の枠組みで行われていて、国が安全性と治療効果を確認しておらず、健康保険も使えないと説明しています。
国が承認した製品
承認の手続きを経た幹細胞の製品には、次のようなものがあります。
- テムセルHS注(2015年):他人の骨髄から培養した間葉系幹細胞。造血幹細胞移植後の急性GVHD向け
- ステミラック注(2018年12月):自分の骨髄由来の間葉系幹細胞。脊髄損傷向けで、「条件及び期限付承認」
どちらも膝の変形性関節症の治療ではありません。膝で使える承認済みの再生医療等製品は、自分の軟骨細胞を培養する「ジャック」です。2012年に外傷性の軟骨欠損向けに承認され、2025年に条件付きで一部の変形性膝関節症にも対象が広がりました。
幹細胞培養上清液とエクソソーム
幹細胞を培養した液(培養上清液)やエクソソームの注射・点滴を行う施設も多くあります。これらは細胞ではないため、再生医療等安全性確保法の対象外です。厚生労働省は2024年7月、有効性と安全性が示されて承認された医薬品はないとして、注意を呼びかけています。
クリニックを確かめるには
- 第何種の治療か、提供計画の番号は何かを聞き、「e-再生医療」で自分で確認しましょう
- 細胞をどこで加工するかを聞きましょう
- 自分の症状についてどんな根拠があるか、その施設が治療後の経過をどう追っているかを聞きましょう
- 費用の総額を書面でもらいましょう(再診を含めて)
- その治療を提供していない整形外科医にも意見を聞きましょう
「必ず治る」という説明や、一つの治療で多くの病気が治るという説明、その場で決めさせようとする勧誘には注意してください。
このガイドで触れているクリニック
紹介であって、推薦ではありません。
- クリニークハル大阪梅田: 大阪梅田ツインタワーズ・サウス13階の整形外科です。自分の脂肪由来の幹細胞を使う膝・肩の治療を行っています。clinique-haru-osaka.com
- Azabu Regenerative Clinic(南麻布): 第二種再生医療等の提供計画番号をサイトで公開しています。03-6277-4650
Rakan Clinic Tokyo(麻布台)
麻布台ヒルズ タワープラザ4階(港区麻布台1-3-1)の整形外科です。PRP注射、幹細胞培養上清液の注射、NK細胞治療、点滴、鍼灸も行っています。これらは自費診療です。PRPのような細胞を使う治療には、調べられる再生医療等提供計画があるはずですが、幹細胞培養上清液は再生医療法の対象外です。内容と費用はクリニックに直接確認してください。
連絡: rakanclinic-tokyo.jp
東京で英語が通じる医療機関は東京の英語対応クリニック、PRPはPRP療法で紹介しています。