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飲食店の無断キャンセル対策は「予約時のカード登録」を当たり前に

2018年の推計では、飲食店の無断キャンセルによる損害は年間約2,000億円とされました。予約時のカード登録やデポジットを、すべての客に同じように求めるのが、いちばん公平な対策です。

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オピニオン編集部
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飲食店の無断キャンセル対策は「予約時のカード登録」を当たり前に
Ximonic (Simo Räsänen) / Wikimedia Commons · CC BY-SA 4.0

大学のサークルの幹事から、3,000円のコースを50名分予約された居酒屋。当日は一人も来店せず、店には何の連絡もありませんでした。

作り話ではありません。2018年に公表された「No show(飲食店における無断キャンセル)対策レポート」に、実例として載っている話です。弁護士や大学教授、業界団体、予約システムの事業者などによる有識者勉強会がまとめ、経済産業省と農林水産省がオブザーバーとして参加しました。レポートは、条件を前もって示し、店に生じる平均的な損害を超えない範囲であれば、飲食店は無断キャンセルに対してキャンセル料を請求できる場合があるとしました。それから8年がたちました。予約で店が食材と人手を用意する場合、予約時のカード登録やデポジットを、そろそろ当たり前にしてもよい時期です。

無断キャンセルの損害

2018年のレポートは、無断キャンセルを飲食店の予約全体の1%弱とし、その損害を年間約2,000億円とも言われると紹介しています。当日のキャンセルに、前日・2日前のキャンセルも加えると発生率は6%強になり、被害額は約1.6兆円と推計しました。

これは当時の推計で、現在の数字ではありません。コロナ禍の前で、カード登録つきのネット予約が広がる前の数字です。調べた範囲では、これより新しい全国規模の推計は見つかりませんでした。高級店では、すでにカード登録を求める店がかなり増えているはずです。ここで言いたいのは、予約で店が食材と人手を用意する場合には、どの店でも当たり前にし、わかりやすく説明すべきだということです。

影響がいちばん大きいのは、席が少なく、決まった人数分の料理を用意する小さな店です。10席のカウンターなら、予約の人数に合わせて魚を仕入れます。2席空けば、その夜8時に売り直すことはできず、魚は翌日まで持ちません。レポートは、飲食店の売上のうち食材費が3割、人件費が4割弱、家賃や光熱費などの固定費が3割で、利益は数パーセントだと言われていると説明しています。小さな店では、1件の無断キャンセルでその夜の利益が消えてしまいます。

お盆にのった会席風の定食。予約に合わせて事前に用意される料理の一例です
お盆にのった会席風の定食。予約に合わせて事前に用意される料理の一例ですHtheword / Wikimedia Commons · CC0

デポジットがいちばん公平な理由

店が身を守る方法は、大きく三つあります。そのうち二つは、デポジットより悪い方法です。

一つ目は、予約を多めに受けることです。そうすると、ちゃんと来た客を待たせたり、断ったりすることになります。二つ目は、連絡がつきにくい人や、キャンセル料を請求しにくい人の予約を断ることです。電話番号が日本のものでない人などが、まず対象になりがちです。三つ目が、すべての客にカード登録やデポジットを求め、来なかったときや直前に取り消したときだけ請求する方法です。

三つ目は、すべての客を同じように扱います。信用できる人かどうかを証明させることも、どこに住んでいるかを問うこともありません。無断キャンセルの費用を、ちゃんと来る客でも店でもなく、原因をつくった人が負担します。

いくらなら妥当か

キャンセル料は罰金ではなく、損害の補償です。消費者契約法は、キャンセル料のうち、事業者に生じる平均的な損害の額を超える部分を無効としています。レポートもこの考え方に沿っています。コース予約では、転用できる食材や人件費を除いたうえで全額を請求できることがあるとしました。席のみの予約では、平均客単価の何割かが目安になるとし、直前の無断キャンセルでは補えない割合が5〜7割に高まると見込んでいます。

店の側にも守るべきことがあります。キャンセル料の条件は予約の時点で示し、外国人客を受け入れる店なら英語でも書いておくこと。キャンセルの手段をわかりやすくすること。数日前までに取り消した客からは、何も取らないことです。

いちばん強い反論

デポジットにも欠点があります。気軽な予約が減り、「とりあえず予約」でも多くは来てくれる客に支えられている店もあります。日本の予約システムでは海外発行のカードが通らないことがあり、来るつもりの旅行者を締め出してしまうおそれもあります。やむを得ない理由で一度来られなかった常連客から料金を取れば、その客を失うかもしれません。

どれも、やめる理由ではなく、上手にやる理由です。食材と人手を先に用意する予約に限ること、公平なキャンセル期限を設けること、海外のカードも使える仕組みにすること、常連には店の判断で柔軟に対応すること。問題なのは、説明のないルールのほうです。

予約する側にできること

予約時のカード登録を、疑われている証拠と受け取る必要はありません。確定する前に、キャンセルの期限を確認しておきましょう。予定が変わったら、わかった時点ですぐに、予約したサービスやメールで取り消してください。「誰か別の客が入るだろう」と考えて放っておくのが、いちばん店を困らせます。

予約を守ることは、日本の外食文化のなかで、客に求められる数少ない約束の一つです。その約束を、カード登録という形ですべての客が同じように交わす。それが、小さな店を守るいちばん穏やかな方法だと考えます。

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オピニオン編集部

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